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2021.11.22

「寝る前スマホ」だけは本当にやめた方がいい理由 

https://www.dailyshincho.jp/article/2021/11200715/?all=1より抜粋

一日の終りにベッドに入り、スマホを見るのがやめられないという人は多いだろう。スマホのディスプレイが発する光に多く含まれるブルーライトが、人の目に備わる「感光性網膜神経節細胞」を刺激し、体内時計を狂わせて眠れなくなるから、というのがよく語られる理由だが、寝不足だけではなく、糖尿病や心臓病、うつ病、肥満の引き金になる可能性すらあると言われれば、本当にやめようという気にならないだろうか。

 医学・医療を長く取材し続けてきたノンフィクション・ライター、ビル・ブライソンの著書『人体大全』をひもとくと、「感光性網膜神経節細胞」の役割が人体にとってきわめて重要であることがわかってくる。この細胞はものを見ることにはまったく使われていないという――。

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「メラトニン」は眠気を促進するわけではない

視交叉上核は、久しく謎に包まれている近くの豆粒大の構造物、松果体と密接に連携して働く。松果体は、ほぼ頭の真ん中にある。その中心的な位置と、周囲から孤立した独自のありかた――脳内のほとんどの構造物は対になっているが、松果体はひとつしかない――から、哲学者のルネ・デカルトは、松果体こそが魂の宿る場所だという結論を導き出した。実際には、脳が一日の長さを把握するのを助けるメラトニンというホルモンを産生する機能をつかさどっているのだが、それは1950年代にようやく発見され、解明された主要な内分泌腺の最後のひとつになった。メラトニンが具体的にどのように睡眠に関連しているのかは、まだよくわかっていない。メラトニンの分泌量は夕方になると増えて真夜中に最大になるので、眠気と結びつけるのは論理的に思えるが、実のところメラトニンの産生は、夜に最も活動的になる夜行性動物でも増えるから、眠気を促進するわけではない。それはともかく、松果体は昼夜のリズムだけではなく、季節の変化も把握する。冬眠動物や季節繁殖動物にとっては、とても重要だ。ヒトにも大きな影響を及ぼしているが、たいていは気づきにくい形で現われる。たとえば、体毛は夏季のほうが早く伸びる。デイヴィッド・ベインブリッジがうまいことを言っている。「松果体はわたしたちの魂ではなく、わたしたちのカレンダーだ」。しかし、これまたとても興味深いことに、哺乳類仲間のいくつか――たとえばゾウやジュゴンなど――には松果体がなく、それで困っているようにも見えない。

 ヒトでは、メラトニンの季節ごとの役割はあまりはっきりしていない。メラトニンは、ほぼどこにでもある分子で、細菌やクラゲ、植物、その他概日リズムの支配下にあるほとんどの生物にも見つかる。ヒトの場合、年を取ると産生が大幅に減少する。70歳で産生されるメラトニンの量は、20歳の量のたった4分の1になる。なぜなのか、それがどんな影響を及ぼすのかは、まだ解明されていない。

 確かなのは、正常な毎日のリズムが乱されると、概日システムに重大な混乱が起こりかねないということだ。1962年の有名な実験で、フランスの科学者ミシェル・シフレは、アルプス山脈の山奥に約8週間こもった。日光も時計も、そのほか時間の経過の手がかりとなるものが何もない中で、一日の長さに見当をつけなくてはならず、37日が過ぎたと推定した時点で、実際には58日たっていたことを知って愕然とした。しかも、短い時間の経過を測ることさえまったくできなくなっていた。当て推量で2分測るように言われると、シフレは5分以上黙っていた。

体内時計と「自傷、自殺、児童虐待」の関係性が明らかに

 近年になってフォスターと同僚たちは、以前考えていたよりヒトが季節的なリズムを持っていることに気づいた。フォスターは言う。「思いがけないたくさんの領域で、リズムが見つかっています――自傷、自殺、児童虐待。パターンが北半球から南半球へ6カ月ごとに変化するので、こういう物事に季節的な上下動があるのがただの偶然でないことはわかっています」。北半球の春に人々がなんらかのことをすれば――たとえば大勢が自殺するなど――6カ月後に南半球の人々が同じことをするのだ。

飲む時間によって「薬の効き目」が変わる

 概日リズムは、服用する薬の効き目も大きく変えるかもしれない。マンチェスター大学の免疫学者ダニエル・デイヴィスの指摘によると、今日使用されている医薬品売り上げトップ100のうち56種類は、時間に敏感な体の部位を標的にしている。「こういうベストセラーの医薬品の約半数は、服用後ほんの短時間しか効果が持続しない」と、デイヴィスは『美しき免疫の力』で書いている。間違った時間に服用すれば、おそらく効き目が弱くなるか、まったく効かないこともあるだろう。

 生きとし生けるものにとっての概日リズムの重要性は、やっと理解され始めたばかりだが、おそらくあらゆる生物、細菌でさえ体内時計を持っている。ラッセル・フォスターはこう言う。「もしかするとそれは、生命の証なのかもしれない」。

 

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